やま猫SOMETIMES

やまだ紫クロニクル

せけんなど、どうでもいいのです。おひさまいっこ あれば

やまだ紫クロニクル

このサイトについて

2009年、桜の季節も終わった京都の4月の末。

漫画家・やまだ紫は、夜中に突然頭痛を訴え意識を失い、5月5日に還らぬ人となった。

最愛の妻であり、もっとも敬愛する作家を同時に失った私は、文字通り半身を引き裂かれたような痛みと悲しみ、慟哭の深い闇の中に突き落とされた思いだった。

2005年から慢性白血病を患う私にとって、唯一の支えであった連れ合いを失うという不幸は、我が身の病苦にもまして耐え難い苦痛だった。

言い表しようのない苦しい日々、何とか自分を支えてきたのは、もちろん心配してくれる身内や友人、応援して下さる皆さん、そして「やまだ紫」のファンの方々のお声である。

出版・編集に携わり、たくさんの作品を読んできたと思う私も、ためらいなくオールタイム・ベストにあげる彼女の代表作『性悪猫』。

他にもまだ、たくさん後の世代にも伝えたい素晴らしい作品を彼女は遺してくれた。

なのに、「コマーシャルではない」という理由で、彼女の作品は絶版の憂き目に逢っていた。


この素晴らしい作品を再度、志ある版元さんから復刊していただきたい。


それが、死病を宣告され、その上に最愛のひとを奪われた自分の、たった一つの生きるモチベーションとなった。

「売れるものを売る」のも商売たる出版人の勤めだろう。だが、いいものを長く売るのも出版という文化に携わる者の良心だ。

そして、それこそ本来はもっとも大切な仕事のはずだと、貧乏な零細版元で長く過ごした自分は思う。

後世に伝えるべきものを、残す。それを見届けなければ、死ぬに死ねない。

そんな執念のような思いで、歯をくいしばって悲しい日々を乗り越えて来た。

もちろん、これだけの作家の作品である。漫画評論家である中野晴行さんと、筑摩書房の青木真次さんのお力添えがあり、小学館クリエイティブさんより代表作三作の復刊が決まった。

さらに、詩人としても早くから高い評価をして下さっていた、小田久郎さんの思潮社さんも、詩画集『樹のうえで猫がみている』を新編として出版してくださる事が決まった。

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(▲書影をクリックするとAmazonの当該ページが別windowで開きます)

彼女が亡くなった2009年のうちに、漫画の代表作が三冊、翌年には詩画集が復刊され、『現代詩手帖』さんが追悼特集を編んで下さった。

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小学館クリエイティブの川村寛さん、思潮社の藤井一乃さんという素晴らしい編集さんの丁寧で愛情あるお仕事にも、本当に勇気付けられた。

何とか、最低限、自分が手伝える事は出来たように思う。

もちろん、まだまだ彼女の作品で素晴らしいものがたくさんある。何とかして形にしたいが、病身の自分には荷が重すぎる。

また、この作品一覧、年表などをまとめたクロニクルも、遺稿や遺品を見るたびに作業の手が止まり、思うように進められなかった。

けれども、自分が何とか生きているうち、体力のあるうちに成し遂げておかねばならない事の一つでもある。


そんな思いで、コツコツと作り上げてきた、未完成なサイトです。

やまだ紫を知るファンの方に喜んでいただければ、また、これから読んでみようと興味を持たれる方が増えてくれれば、嬉しく思います。


2011年冬 京都にて、夫・白取千夏雄
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漫画家・詩人でもあった、やまだ紫(2009年5月5日歿)の作品リストや、年譜などがご覧いただけるページです。
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